キクタスがお手伝いさせていただいてきたすべての番組の累計が1億ダウンロードを突破しました。
1億ダウンロード突破を記念して、「人生を変える」ポッドキャストの聴き方・使い方をテーマに、東京コピーライターズクラブの、木村亜希さんにお話を伺いました。
東京コピーライターズクラブ
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コミュニケーションを考えるという意味では、全ての仕事の参考になる番組
早川:今回は、『コピーライターに訊け!』のナビゲーター、TCCの木村亜希さんにお話を伺います。木村さん、よろしくお願いします。
木村:よろしくお願いします。
早川:今、TCCということでご紹介しました。もうご存じの方も多いと思いますが、とても有名な団体ですよね。知らない方もいらっしゃるかもしれないので、そもそも、このTCCというのは何の略かというところからお伺いしてもよろしいですか?
木村:はい。「東京コピーライターズクラブ」、通称TCCという団体です。東京を中心に活躍するコピーライターCMプランナーが集まっているという団体です。
早川:僕はコピーライターになり損ねた人間なので、ちょっと聞いてみたいんですけども、例えば、コピーライターとして活躍してれば、誰でも入れるのですか。何か基準があるんでしょうか。
木村:TCCは、年に1回「TCC賞」という賞を選出する活動をしていまして、そこに応募して、新人賞を獲得した人だけが、入会資格を得られるという団体なんです。
早川:そうすると、年に1回の賞で、何人が対象になるのですか?
木村:そのときの審査方針で変わることもあるので、ぴったりは決まってないんですけど。今だと、30人ぐらいが入ると思います。全応募者数の何割ぐらいっていう基準が決められていて、パーセンテージで決めたり、票数で決めたりしています。数年前に「10人にする」っていう年もありました。10人を丁寧にプロモーションしようみたいな審査委員長の方針で、そういうことがあったんですけど、狭き門過ぎたということなのか、今は、また戻っていますね。そんな感じで、毎年ほぼ一定の割合の方が入会するという団体です。
早川:なんか、その辺も、クリエイターっぽくていいですね。かっちり、絶対、これでいくと決まっていないところとかが。
木村:そうですね
早川:そうすると、木村さんも、そのTCCで新人賞をとって会員になられたということですね。
木村:はい。
早川:もうそれだけで、この番組の面白さが伝わってきそうですね。『コピーライターに訊け!』という番組名でもイメージが湧きそうですが、あえて木村さんから話していただくと、これはどんな番組でしょうか?
木村:立ち上げ当初は私もポッドキャストのチームにいなかったのですが、もともとは、TCC50周年の記念事業という形で立ち上がった仕事というふうに聞いています。リスナーは、広告業界を目指されている方や、すでに広告業界に入っている若い方というのを想定しています。そういう方に向けて、既に活躍している方の仕事の話や、その方の若いときの話を伺うことで、「じゃあ、自分も同じように勉強してみよう」ということで参考にしてもらっています。「この人でもこんな苦労をなさったんだ」ということで励まされたり、「自分もこれじゃいかん」というふうに思って、ちょっと奮起したりするとか、そういうことを想定しているというふうに伺っています。そういう方がメインのターゲットです。『コピーライターに訊け!』でも、一度ゲストに来ていただいているコピーライターの谷山雅計さんがよく仰っているんですけど、「クリエイティブじゃない仕事をしているコピーライターよりも、クリエイティブな売り方、作り方をしている八百屋さんのほうがクリエイティブだ」という考え方もあるんですね。
早川:なるほど、面白い。
木村:引用がぴったり同じかは分からないんですけど。そういうふうに、どんな仕事でも、人と関わる以上、コミュニケーションを研ぎ澄ますっていうことは、ほとんどの人が必要なので。
早川:確かに。
木村:CMを撮影するとか編集するというのは、ちょっと特殊な業種かもしれないんですけども、コミュニケーションを考えるという意味では、全ての仕事の参考になる内容かなというふうには思っています。あと、「全然自分とは関係ないけども、コピーライターという職業の人たちって、こんな暮らしをしてるんだ、面白いな」というような楽しみ方もありだと思っていて。業界の方ではなくても、コピーライターの仕事紹介というふうに聴いていただいてもいいですし、いろんな楽しみ方があるかなと思います。
早川:ありがとうございました。実は、僕も、コピーライターチックな仕事をちょっとしていたこともあります。マスコミに勤めているわけではありませんが、今はなんとか、クリエイティブな仕事に就けてはいるんですけど。すごく面白いなと思うのが、コピーライターの仕事とか、もっと大きく言うと、「クリエイティブな仕事の第一線で活躍している人たちが、こういう感覚で仕事をしているんだ」とか、「物事を考えているんだ」っていうのが、普通はなかなか見えないと思うんですね。今、TCCさんのオフィスで収録させていただいているんですけど。ここは普段どういう使い方をされているスペースなんですか
木村:打ち合わせに使っていることもあるんですけど、過去のTCC年鑑とか資料がそろっています。TCCという団体は、ホール・オブ・フェイムという過去のコピーライター、広告界に、功績のあった方を表彰するということもやっておりまして。そちらで表彰された方のお写真やトロフィーが並んでいる部屋なんですね。
早川:糸井重里さんとかもいますよね。
木村:そうです。
早川:なので、この番組って、クリエイター同士がちょっと休憩しながら、いろんなことを話したり、昔話をしたりするような緩い感じなので、そういうスタンスでずっと聴いているんですけど。その辺って、なんか、きっちり決めているわけでもないんですか?
木村:ゲストの方によって、いろんな話す企画を、ちゃんと打ち合わせしていることもありますし、割とこちらが聞いたことで、話がいろいろ面白いほうに飛んで転がっていったりということもあったりします。
早川:ぶっちゃけ、お酒を飲みながらやっていることはあるんですか?
木村:お酒を飲むことはあったかな?
早川:じゃ、基本は、そんなに飲んでないんですか?
木村:飲んでないですけど、別に、飲んじゃいけないっていうこともないですね。この配信とは別に、ニコニコ動画でイベントをやったときには、多分、会長はじめ何人かの方は、ウイスキー飲んでいらしたこともありましたし。
早川:やっぱり、そうですか。いい意味で、特にベテランのコピーライターの方が出たときって、なんかお酒飲みながらやっているのかなぐらい、砕けているので。
木村:「やってもいいかな」というノリではありますね。
早川:今後は、その辺も期待でっていうことですけど。今、ニコニコ動画の話もあったんですけど、この『コピーライターに訊け!』でも、映像のほうもたまに配信していますよね。これは、どういう映像を使っていることが多いんですか。
木村:トークショーとか、会場の様子がちょっと分かりづらいだろうなというようなときに、映像を使ったりしていますね。この間は『年鑑発刊イベント「おこしやす」』というイベントのときのトークショーの様子を伝えるために配信させていただきました。
ポッドキャストの利点は「自分が強制的に考える体験」を得られること
早川:なので、そういう映像も見ていただけると、よりイメージも湧くと思うんですけども。少し質問の視点を変えたいんですけど、木村さん自身が番組に関わって、今、どのくらいですか。
木村:もう3年目ぐらいになります。
早川:ほぼ全てですよね。やっぱり最初のときだけ。
木村:最初の1、2年くらいは、いなかったんですけど。
早川:でも、4分の3ぐらいは担当されているので、トータルで見ると、一番長くいる方だと思うんですけど。実際にやってきて、この番組が、TCCさんや、もしくは、木村さん自身でもいいんですけど、やってみたらこんなことが面白かったとか、こんなことが意外と役立ったとか、予想通り面白かったとか、何か感想はありますか。
木村:TCCという団体の公式見解ではなく、単に、1ナビゲーターの木村の意見という感じなんですけど。割と、コピーライター同士って、仕事のチームのときは、アートディレクターや違う職種の人と組むので、コピーライター同士が会う機会って、実はあまりないんです。
早川:名前とかは知っているんですよね?
木村:名前は知っていたり、会ったりしたことはあっても、あんまり話す機会というのがないので。大先輩の話をじっくり聞ける機会がたくさんあるというのは、すごくありがたいことだなと思っています。
早川:それでは、まず木村さん自身が、すごく楽しんでいるということですね。
木村:そうですね。
早川:それは大事ですよね。
木村:役得といったら怒られちゃうかもしれないんですけど、やらせていただいていると得られるものが大きいです。あと、やるまで分からなかったこととしては、やっぱり、皆さん、ニュースもまとめサイトで読むというか、「3行でざっくりと」みたいなものを愛用されているじゃないですか。文字だと、すごくまとめやすいのに、音でやることの意味って何なんだろうというのが、やるまではあまり分からなかったんですけど。『コピーライターに訊け!』だけではなくって、音コンテンツ全体の話になっちゃうのかもしれないんですけど、情報を伝えるっていうよりは、それを聞くことで、何かを、自分が強制的に考える体験をするっていう場なのかなと思っています。文字でもそうなるんじゃないと思うかもしれないんですけど、そこには格段の開きというかあるんですよね。音にしかできないことがあるかなと思っていて。直近で、秋山晶さんにインタビューをさせていただいた時に、「今も(自分にとっての)師匠というのはいて、読んだり聞いたり見たりしたインプットのすべてがそうなんだ」といったようなことをおっしゃって。「でも、メモとか取ったりしちゃだめよ」って、おっしゃったんですよ。それで、「おっ」と思ったんです。聞いたことをメモしているって、それだけで、もうすでに入ってないっていうことですよね。そんなことしなくても、心をつかんで放さないというか、スッと入ってくるみたいなことが、自分の中で、血肉化して原動力になるインプットになるんです。そういうのって、文字で読んでも、あんまりズキュンとはしないのかなと思ったりして。だから、そういう体験ができるっていうのが、ポッドキャストのいいところなのかなと思います。
早川:なんだか新鮮ですね。まさに、文字で勝負しているそのコピーライターの木村さんが、そういうふうに感じるっていうのが、すごく面白いなというふうには思うんですけど。
木村:そうなんですよね。
番組をつくることで生まれるクリエイティブな化学反応
早川:実際、インタビュアーでもあり、発信もされていると思うんですけど、そういう視点でいくと、今後、個人的には、1億総クリエイター、メディアみたいな時代になりつつあると思っていて。コピーライターを目指す人も、当然、これを聞いていただきたいんですけど、自分で発信っていう意味では、ポッドキャストを発信する人もすごく増えてきています。TCCの見解ではなく、木村さんの感覚で構わないんですけど、こういう人は、ポッドキャストや声のメディアが向いているんじゃないかなって、何かありますか。
木村:割とコピーライターの場合は、聞き出すというのが仕事みたいな感じなので。ナビゲーターは、そんなに前に出ない感じはあるんですけど、対談みたいな感じで話しているうちに、なんかプロジェクトが生まれたり、そういう化学反応が起きるみたいなことはあります。
早川:なんかインプロみたいな時代が生まれたら、面白いですね。
木村:そういう人たちが、定期的に集まるみたいなのって面白い。生まれなくてもよくて、「こんなのって、あったらいいよね」みたいなのを話し合うみたいな場所を、強制的に場をつくるっていう役割として使うと、面白いかなと。
早川:でも、その場を、強制的っていうと、ちょっときつい感じに聞こえるかもしれないですけど、やっぱり化学反応のようなものが生まれますよね。
木村:そうですね。
早川:なるほど、すごく、面白い気付きをいただきました。最後になんですけども、この『コピーライターに訊け!』、もう今、180回を超えて、もうすぐ200回を迎えると思うんですけど、今後、なんか、こんな人に出てもらおうと思っているでもいいし、こんなことをちょっと考えているでもいいし、まだ全然見えてないけど、木村さんとして、いつか、こんなことやってみたいなでもいいんですけど、何かありますか。
木村:ゲストとかとは、お名前、今、出しちゃっていいのかが、ちょっとわからないので。何人か、もうラインナップされていたりするんですけど。私以外にも、新しくナビゲーターを担当してくださる方もいたりして、その方が会いたい方にメッセージして、また会うみたいな形で、どんどん新しい関係性が生まれていくっていうのもいいかなと思っています。
早川:いいですね。あらためてですけど、クリエイティブな仕事に就きたい人はもちろんですけど、この今の僕らの掛け合いを聞いている中で、ちょっとでも興味持った人に対して、メッセージというか、何か送るとしたら、どんな一言をいただけますか。こんなところを聞いてほしいでもいいし、こんなところ、面白いよっていうことでも。
木村:聞く人側ですか。
早川:はい。あらためて、ですけど、最後に。
木村:その場に自分もいるような感じで想像して聞いてもらえると、面白いかなと。そこで、「自分がそこにいたら、こんなことも聞くのに」っていうことがあれば、ぜひ、メールをいただけたら嬉しいです。たまにメールいただいたりとかすると、すごく嬉しいので。双方向と言いながら、意外にそんなにドシドシは来ないので。あと、生放送ではない、ラジオじゃないので、そこがものすごい時間のかかる双方向みたいな感じになっちゃっていて、そんなにお手紙は来ないんですけど。たまに来ると、ものすごくうれしいので、「自分だったら、こんなこと聞きたかったのに」っていうのがあったら、ドシドシ、メールしていただけると、励みになりますので、うれしいです。
早川:はい、ありがとうございます。ということで、きょうは、東京コピーライターズクラブ、『コピーライターに訊け!』、ナビゲーターの木村亜希さんに、お話、伺いました。木村さん、ありがとうございました。
木村 ありがとうございました。
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